私が以前働いていた会社では、私以外にもシングルマザーが三人働いていました。

社長はそのことが自慢らしく、来客があるとよく

「我が社では、母子家庭の女性を率先して雇っているんですよ。社会のためなんですよ」

と話しているのが、仕事中の私たちの耳にも入ってきました。

私はまったく気にしていませんでしたが、同じシングルマザーの同僚のひとりは

「また、お情けで雇ってやってるって言いふらして・・自分がみじめに感じる」

といって涙していることもありました。

みじめ?えっ、そうなの?

同情には2種類ある

母子家庭、ひとり親家庭ということで、「かわいそう」「大変そう」と同情してくださる人には二種類います。

 

一つは、かわいそうな人に同情してあげる自分が好きな人。

 

あと一つは、自分より不幸そうな人を見て自分の幸福を確認する人です。

 

あの社長は「かわいそうな人に同情してあげる自分が好きな人」です。

こういう人は単純なので、大げさなぐらいそのことを感謝するともっとよくしてくれます。

「いつもご配慮ありがとうございます。こんなに理解のある職場はないと、地域でも話題になっているみたいで・・この会社で働けて良かったと心から思っています。ところで、明日は授業参観なので早退させてください・・」

と思い切り持ち上げてから何かを切り出すとだいたい却下されません。

母子家庭,同情される

もう一方の「自分より不幸そうな人を見て・・」のマウンティング型同情をする人もよくいます。

「へれんさん、大変ね。あれもこれも一人で・・・これ、うちがやっておきます。ううん、いいの。こういうときは、私たちのような立場の人がやるべきなの」

「私はいいから、へれんさんがそれをいただいてね。私のような恵まれた環境の者よりもそのほうがいいわ」

こういう感じのことを言われると、内心

「うぉっっっ!」

と思いますが、

「わあーっありがとうございます!助かります」

と素直にご好意をお受けしています。

 

この二つのタイプに共通していることは

「悪気はないこと」

「親切なことをして気分が良くなっていること」

「お返しなんて期待していないこと」

です。母子家庭,同情される

こういう同情は「返さなくていい負債」です。

かわいそうだと思って何かをしてくださったこれらの人たちは「いいことをして気分が良くなる」メリットをその場で受け取っているので、もうお返しはしなくていいと私は思っているからです。

実際、このような方々は私たちからの見返りを期待してきません。

さっき出てきた社長の場合は、自己満足プラス「シングルマザー率先採用」を会社の宣伝にも利用している代わりに、働きながらの子育てに理解を示してくれてもいました。

よく考えたら、私たち、対等な関係なんです。

いつかはきっと返したいのは「恩」

この負債とはまったく別の、「恩」というものを感じている人たちも私にはいます。

この人たちは、私たち母子を見ると何かしてあげたくて、もう申し訳ないぐらい色々な心づかいをしてくださいます。

そしてそれでも足りずに「何もしてあげられなくて」「こんなものしかなくて」と悲しそうに言います。

ぜんぜん嬉しそうでも幸せそうでもないので、ありがたいけれど、とても申し訳ない気持ちになってしまいます。

母子家庭,同情される

今はあまりにも無力で何も持っていない私ですが、なんらかの形でこの人たちには恩を返したいと思っています。

彼らはそんなことは全然願っていないと思いますが、人生なんて何が起こるかわからないもの。

こんな私でも無償の優しさにお返しができる日はきっと来ると信じています。