田舎は本当にプライバシーがありません。
人口が非常に少ないため、プライバシーを守ろうとしても無理というのもあります。
市役所の人も、よく行く店のレジの人も、ガソリンスタンドの人も、みんなどこかでつながっています。
車移動が基本のため、車がある・ないで留守かどうかが判断されるのは当たり前、居留守はほぼできません。
「あんた、昨日酒屋で買い物しとったろう。車あったから」
とか言われていちいち
「余計なお世話よ!」
と腹を立てても仕方ありません。
ハローワークはあまりにも狭く人も少ないので、順番待ちしている間の前の人の職業相談はまる聞こえです。
町の健康診断に行ったときに係りの人がおばあちゃんを採血担当のところに連れてきて「こちら、肝炎です!」と普通に言った時はさすがに驚きましたが・・・。
そんなプライバシー皆無の田舎で私が離婚届を出した時の脱力な話です。
離婚前に役所に相談
離婚を決めた時、軽い気持ちで役所に行きました。
子育て支援関係の窓口で
「あの、離婚することになったのですが、母子家庭が受けられる支援について知りたいんです」
と言いました。
母子家庭への支援については児童扶養手当や医療証のほかに、水道料金の補助など市町村によって違うので、そこのところはどうなのかなと思って聞いてみたかったのです。
すると、対応してくれた女性は
「・・・えっ!」
という顔になり、奥の応接セットへ通されてしまいました。
そして管理職っぽい女性職員と、まだ新人さんらしき職員から
「暴力は受けていないか」
「生活費は送られてきているか」
「親権でもめていないか」
「困ったことは無いか」
と真剣かつ気の毒そうな顔でどんどん質問されました。
私はというと、長いことドロドロと揉めていた時期がやっと解放され、あとは届けを出すだけという気持ちで晴れ晴れとした時期だったので、
「えっ?いや、暴力はないし・・生活費は当座は大丈夫。困ったこともありません。」
と明るく答えました。
話ぜんぶ、他の人にも聞こえているけどね・・たしかあの中には近所の人もいたはず。
担当の方は私がケロッとしてるので怪訝な顔をしていましたが、とくに今問題はないということで話は終わり、「何か困ったらすぐきてくださいね」ということで話は終わりました。
聞きたかった助成内容については聞けず・・・。
ちょっと面食らってしまいましたが、親身な対応の職員さんには感謝。
・・・近所の人にみんな聞かれちゃいましたが。
離婚届を2つ隣の町に出しに行った
離婚届の提出は、私がすることになっていました。
仕事が忙しい夫に任せると延び延びになってしまって、母子家庭が受けられる手当の受給が遅れそうだと思ったからです。
先日の市役所の対応については親身になってもらってありがたかったけれど、
「市役所には近所の人も、子供と同じ小学校の保護者もたくさんいるから、離婚届をこの町で出すのだけはイヤだな〜」
と思い、車で30分かけて二つ隣の町で出すことにしました。
(離婚届は戸籍謄本を添付すれば住所でない役所でも提出できます)
「これ・・・」
と離婚届を差し出すと、
「(・・・はっ!)」
という顔をされ、受け取った職員が他の職員にひそひそと何か聞いていました。
それから5人ぐらい職員が集まってきてヒソヒソヒソヒソ・・・・。
どうやら、あまりないことなので手続きの方法がわからなかったみたいです。
ほかの手続きをしにきている人たちも「なんだろう?」と思っている様子。
「(カンベンしてくれ〜恥ずかしい・・)」
と思いつつ本を読んで待っていると、なんと3人がかりで一時間かけて手続きが終わりました。
確かに知ってる人はいなかったけど、なんだかこれはこれで失敗・・・。
この町、よっぽど離婚する人が少ないんだなとわかりました。
住所のある町の市役所へ
離婚届の提出をした足で、住所のある役所へ向かいました。
「あの〜すいません・・」
と窓口で声をかけると、息子の同級生のお母さんが出てきて
「ああ!こんにちは〜どうしました?」
とすごく明るい対応。
(うう・・やっぱり知ってる人か・・)
ある程度覚悟はしていたけどやっぱり。
「あの、り、離婚したので手続きをしにきました・・」
というと、
「あ・・・・・・・ハイ」
と急に表情が曇り、椅子を勧められました。
(まあ、そりゃそうですよね)
ところが・・ちゃんと調べて行かなかった私が悪いのですが、離婚したその足で手続きに行ってもだめなんですね。
「『離婚届の受理証明書』または『戸籍謄本(離婚したことが書いてあるもの)』が必要なのですが、役所がこれを発行してくれるまでには早くとも一週間かかります。」
という説明を受け、肩を落とす私。
「とりあえず福祉課に行って、子供関係の手続きの仕方を聞いてきたらいかがですか?」
と勧めてくれたので、別館の福祉課へ。
福祉課も裁判所も知り合い
母子家庭のための子育て支援の担当の方も子供の同級生のお母さんでした。
今度は長女の友達のお母さん・・・。
なんだかここまでくるとちょっと笑ってしまいました。
反応は同じ。
「こんにちは!どんなご用?」と聞いてくれた明るい顔がみるみる曇り・・・。
私は悪くないんですが、それでもなんだか申し訳なかったです。
別の日、子供を私の戸籍に移す手続きに行った裁判所の事務員さんもやっぱり知り合い、近所のおばちゃんでした。
狭い社会で生きる
この時のことで、小さな社会で生きるということを学んだ私。
誰がどこで見ているかわからないので変なことはできないし、どうつながっているかわからないから誰に対しても失礼があってはならないなあと、改めて気を引き締めました。
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