「母子家庭でも、奨学金があるじゃない」
「子供が将来いい生活ためだから、借りてでも進学した方がいいんじゃない?」
と言われることがよくありますが、本当にそうでしょうか?

家庭訪問でいわれたこと

私がいま住んでいる地域では、幼稚園から高校まで家庭訪問があります。

前に住んでいた場所では小中学校だけでしたが、こんなところにも地域差があるのですね。

 

高校生の長女の家庭訪問は、一学期が終わる直前でした。

そろそろ進路を定めましょうという担任の先生に、私は

 

「本人からも聞いているかと思いますが、まだやりたいこともなく、特に学びたい分野もないようなので・・進学は視野に入れていません」

と伝えました。

すると先生は

「そういうお子さんは多いですが、お金のことが心配なのであれば、奨学金もありますし

と奨学金の話をしてくださいました。

そこで、前々から奨学金について消極的だった私が

「本人がそこまで積極的でないのに、数百万もの借金をさせることが良いのかわからない」

と伝えると、先生は

「私自身が母子家庭で育ち、奨学金を利用して大学に行きました。
私もやりたいことはその時なかったけれど、あの4年間でいろいろ考えることができました。
そういう時間を過ごすつもりで行かれてはどうですか?

とご自身の体験を話して下さいました。母子家庭,奨学金

借りた人のその後は?

私の周りには奨学金で大学に行った人が何人かいて、そのことについて話を聞くことができます。

「奨学金のおかげで今の仕事につけてよかった」

という、この先生のような人もいます。

 

その一方で、

 

「みんなが行くからと気軽に借りて、そのあと深く考えもせず増額までした」
「結局、大学で学んだことと関係ない仕事についたあと結婚と出産。いまも奨学金の返済に苦労している」

という知人もいます。

また別の女性は「結婚したら旦那さんが返してくれるだろう」というもくろみがあったそうですが、いざ結婚してみたら夫は中卒で起業・成功した苦労人。

「大学なんて遊びだろ。遊びのお金は自分で返してね」と言われ、アテが外れてしまったそうです。

彼女は子供が小さいうちからフルタイムで働き、頑張って返済しています。

母子家庭,奨学金

ちなみに、奨学金を借りるには連帯保証人が必要。

この連帯保証人には親がなることが多いですが、奨学金を借りた本人が返済ができないときはすぐに連帯保証人に支払い義務が発生します。

もしも、この親が亡くなった場合は代わりの連帯保証人を探さねばなりません。

見つからなかったら・・?

保証人の立場というのは遺産相続の対象になるので、借りた人の兄弟にまわっていく可能性もあります。

毎月の返済額は?

奨学金を借りると、卒業後はどのぐらい返済していくのでしょうか。

とてもシンプルでわかりやすい回答がありました。

Q 奨学金の月々の返済額と返済期間を知りたいです。 高校生より

A 奨学金を借りた総額により、月々の返済額と返済期間が決められています。 したがって、借りた額が多ければ多いほど、毎月の返済額が大きくなり、返済期間も長くなります。

大学で4年間借りた場合は、月々1万3000円~2万6000円程度の返済が14年~20年続くとイメージしてください。

新制度となる所得連動返還では、低所得者の負担を軽減するために、卒業後の収入に応じて月々の返済額を少なくする仕組みが設けられています。

また、卒業後に余裕が出たならば、繰上げ返済することで返済期間を短縮することもできます。

引用元:奨学金なるほど相談所

では、ここで説明されている返済額はいくら借りた時の金額でしょうか?

一番負担が軽いものである「月々1万3000円を14年」は第1種奨学金を毎月4万5000円ずつ4年間借りたときの返済金額。
借りた総額は216万円です。

逆に一番負担が重い「月々2万6000円を20年」は第2種奨学金を月に10〜12万円ずつ4年間借りた時。
こちらの借りた総額は480万〜576万円です。
(第2種は0.5〜3%の利子がつくので、同じ返済額でも借り入れ額が前後します)

第2種奨学金は借りる金額を自由に設定できるので、もっとたくさん借りている人もいます。

 

ちなみに、文中の『低所得者の負担を軽減するために、卒業後の収入に応じて月々の返済額を少なくする仕組み』。

これは、返す金額を減らしてくれるということではありません

これは、『給与が上がるまでは返済額を低くして、給与が上がってきたら返済額を上げる」という仕組みなので、これを利用すると月々は楽になるものの、返済する期間は長くなります。

費用対効果で考え、慎重に

「少しでも良い生活をするために、よい会社に入るためには大学進学を」

という考えで何としても子供を大学に行かせたいという人は今もたくさんいます。

これが二十年前なら、確かにそうだったかもしれません。

でも、それは今も通じる常識でしょうか?

大卒でも非正規雇用が増えている今の時代、数百万の借金を背負わせてもとにかく大学さえ出れば、高卒との生涯収入の差で取り戻せるのでしょうか?

それに、
「返済が始まってから本当にやりたいことが見つかった。けれど、また奨学金を重ねて借りることはできないし、ましてや仕事を辞めることはできない」
ということだってありうるのではないでしょうか。

自分の18歳の選択に満足している人が、今の大人にどれだけいるんでしょうか。

母子家庭,奨学金

なんとしても大学で勉強してみたいことがあったり、やりたいことが明確に決まっていて、そのために大学の勉強が必要ならそれは別です。
素晴らしいことだと思うし、お金を借りても、きっと納得して返していくことができるでしょう。

でも、「自分探しの時間稼ぎ」「大卒のレッテル購入」のためなら、借りるお金と得られるものを天秤にかけて、慎重に判断してからにするべきです。